【矢口道場 道場訓 第五条】支離滅裂プロ予想家連中 Ⅲ

支離滅裂プロ予想家連中 Ⅰ」で述べたように、スポーツ新聞・競馬専門紙は売り上げを伸ばす為、低配当・高配当問わず1つでも多くのレースに関し「ウチは当てました」と言いたい。だから1つのレースに対して多種多様な十数名の予想家に満遍なく散らばった予想印を付けさせ、低配当・高配当の決着に備える。Ⅲのここでは的中報告について述べて、「支離滅裂プロ予想家連中」を締めくくりたいと思う。

競馬で使用する予想印は、人によってそれぞれ違う。競馬を始めた当時に、1着すなわち単勝で来ると思われる馬に◎(通称:本命)、単勝はなさそうだが枠連・馬連の軸すなわち連軸に適していると思われる馬に○(通称:対抗)、印的には3番手評価だが◎馬や○馬を脅かし単勝まであると思われる馬に▲(通称:単穴)、以降ヒモ評価の馬に△を付ける、このような事をチラッと聞いた事がある。他にも、×とか注とか☆とか色々あるようだがここでは俺が使用する、◎○▲△×注(1番手~6番手評価)6種類の予想印に統一した形で述べていく。

新聞予想家は1つのレースにつき果たして何点予想をしているのだろうか。これを述べている時点でJRAで発売されている馬券は、単勝・複勝・枠連・馬連・ワイド・馬単・3連複・3連単の8種類なのだが、馬連だと◎からの流し5点か、それとも◎~注までのBOX15点か。分かりきった事を回りくどく言ってんじゃねぇよって思うか?俺は本気で新聞予想家は1つのレースで何点予想をしているのだろうかって思う。時に単勝的中、時に馬連的中、時に馬単的中、時に3連単的中と、同じ予想家の4種類の的中報告を場面場面で目にするからだ。そして複勝、枠連やワイドの的中報告を俺は見た事がない。

4種類の的中報告をするからには、4種類の馬券種別に対する買い目を出しているという事だろう。ではさっそく◎○▲△×注の6種類の予想印での、4種類の馬券種別における買い目を考えてみよう。

単勝

馬連

◎○
◎▲
○▲
◎△
◎×
◎注

馬単

◎○
○◎
◎▲
▲◎
○▲
▲○
◎△
◎×
◎注

3連単

◎〇▲
◎▲〇
◎〇△
◎〇×
◎〇注
◎▲△
◎▲×
◎▲注
〇◎▲
〇◎△
〇◎×
〇◎注

ざっと買い目を挙げても単勝1点、馬連6点、馬単9点、3連単12点、計28点ある。新聞予想家は6種類の予想印だと、28点予想をしているのか。4種類の馬券種別における的中報告を見る限りそういう事になる。単勝だけの予想なら◎だけしか予想印をつける必要はないのだし、他に○▲△×注と5種類の予想印を付けていて、4種類の馬券種別に対する的中報告をしている以上、単勝以外にも馬連・馬単・3連単の買い目を出しているという事は紛れもない事実。新聞予想家は1つのレースにつき28点予想をしているのだ。そうでなければ的中報告は嘘で、新聞や新聞予想家は詐欺集団という事になってしまう。

だが新聞や新聞予想家は28点予想を否定するだろう。考えられる説明は、「不特定多数の読者に予想を提供する我々新聞・新聞予想家は、その読者個々の購入馬券種別にまでは対応できない。そこで単勝を購入する読者には1点、馬連を購入する読者には6点、馬単を購入する読者には9点、3連単を購入する読者には12点と考えてもらいたい。予想家が提供した予想印と買い目を参考に、自分の好きな馬券で購入して欲しい。だから決して、予想家1人が1つのレースで28点予想しているのではない。」こんなとこだろう。俺にはちょっと都合良過ぎるように思えるがな。それは新聞が当てたと騒ぐ的中報告は読者の的中報告ではなく、新聞予想家の的中報告であるという点からだ。「ウチの新聞が抱えている予想家の予想印を見た読者は当たりました!」ではなく、「ウチの新聞が抱えている予想家の予想は当たりました!」という的中報告なのだから、予想家は1つのレースにつき4種類の馬券種別に対する買い目を出しているという事になり、1予想家1レースあたり28点予想は否定できない。この部分はややこしいが、しっかり噛み砕いて理解して欲しいところだ。揚げ足を取っている訳でも何でもない。この話を理解出来ない人間は低知能確定の赤ランプ。

的中報告というのは、往々にして高配当を当てた時にされる。GⅠレースの時は低配当・高配当関係なく無条件に的中報告される。そして的中報告に看板予想家も1軍予想家も2軍予想家もなく、知名度の高い予想家というよりも高配当を的中した予想家が大きくクローズアップされ紹介される。当たった時だけ的中報告をする事は当たり前の話なのだが、俺が気に食わないのは高配当を的中した馬券種別のみしか予想していないかの如く的中報告がなされる点だ。外した時は口を噤む?それでいいよ別に。ただな前述の通り、お前等は場面場面で時に単勝、時に馬連、時に馬単、時に3連単と4種類の馬券種別の的中報告をしている。1つのレースに対して28点予想してんだから全て報告しろよ。俺が全てと言ってるのは、当たろうと外れようと1R~12Rまで全て報告しろって意味じゃねぇよ。的中報告したレースで他にも当たってる馬券種別があるはずだろ。3連単当てたレースなら、単勝・馬連・馬単当たってる場合だってあるだろ。高配当の馬券種別だけクローズアップするんじゃなく、当たった馬券種別全て正直に的中報告しろよ。単勝は2千円超えたらとか、勝手に目くらましの線引きしてんじゃねぇ。あたかもその馬券種別しか予想してなかったみてぇに見せやがって。高配当的中させていないレースでも、単勝180円、馬連540円、馬単630円、3連単1080円、全部的中させたんだろうが。それを「馬単◎→○的中、3連単◎○▲的中」ってさぁ。紙面が限られてるからいちいち書いてらんねぇってか。調子いい事ばっかぬかしやがって、要するに28点予想とは思われたくないんだろうが。「全馬券種別的中しました!ただし28点買いですけど。」って、胸張って言ってみろって。それを都合よく隠しやがって、やる事なす事ペテンなんだよ。

つーか稀に、「△→▲→◎ 3連単15万馬券的中」とかデカデカ書いてる競馬専門誌あんだけどさ、△→▲→◎ってさマルチって事なんだろ?◎が3着でも3連単的中って言うからにはさ。いいけど、それってマジで何点買ってんの?そのレースはいいよな、15万馬券的中だから何点買ってても。でもその予想家は毎レース何点予想なの?そいつの予想で買いたい読者って、1日に幾ら買う事になんの?△→▲→◎で的中報告するんだったら、ホント毎レース何点買ってんのかちゃんと公表しろや。

新聞予想家の回収率ランキングなる物を見た事ないか。以前に比べ幾分ましにはなってきたが、新聞に限らず未だ均等買い回収率で計算している所が多い。回収率については別で述べているので、ここでは軽く触れておく程度にする。◎○▲△×注という予想印は、◎>○>▲>△>×>注、こういう力関係。予想する奴は◎○で的中する事を目指すから、勿論◎○>◎注という事だ。とにかく印には重さがある。当然オッズにより資金配分は考えなければならないが、仮に10万円の資金だとすると、◎○1万円、◎▲1万円、○▲1万円、◎△2万円、◎×2万円、◎注3万円という買い方はおかしい。俺の予想印の付け方は6連単のイメージに近いものがあるが、予想家は単純に◎が1着、○が2着、▲が3着、△が4着、×が5着、注が6着と6連単に近いイメージで予想印を付けている訳ではない。「予想印=着順」というイメージではない。だが予想印にはハッキリとした重さが存在する事は明らかだ。

馬券購入者は大きく、均等購入型・配分購入型の2種類に分けられるかも知れない。かも知れないと言うのは、毎度毎度均等購入する馬券購入者などいるのかと疑問だからだ。皮肉っているのではなく、正直、年中毎レース各点均等購入している奴がいるのか物凄く疑問に思う。馬鹿にしたり皮肉っている訳ではなく、100円均一買いをしている人間にしても、たまには本線200円、押さえ100円と厚薄つけて買う事あんじゃねーの?って思う訳だ。均等買い・配分買い2種類の馬券購入者が存在するとして、均等買いの連中にとっては予想印の重みはそこまで重要ではなく、配分買いの連中にとっては予想印の重みがかなり重要になる。例えば流し馬券を購入する際の両者の予想印の重みを見ると、均等買いの連中には軸になる◎が1つとヒモになる△が5つあればいい、配分買いの連中には軸になる◎が1つと相手筆頭○・相手2番手▲・相手3番手△・相手4番手×・相手5番手注と6種類全て必要になる。

超少頭数のレースの時に予想家は◎以外、△を数点付けたり、○、▲しか付けなかったりするが、ほとんどのレースの場合◎○▲△×注と予想印を付ける。それぞれ異なった重さの予想印を。予想印に重さがある以上、均等買い回収率でランキングを出す事はおかしな話だ。均等買いという事は、◎○という目も◎注という目も同じ重要度という事になってしまう。予想家が異なる重さの予想印を付けているのは、◎注よりも◎△、◎△よりも◎▲、という重要度を表している。だからどうしても1点に絞れと言われたら、予想家は◎×ではなく迷わず◎○を挙げる。均等買いによる回収率ランキングなる物を作っている奴等は、予想家の予想印という物すなわち予想印の重さを無視している。予想家の予想印というものには1つ1つに重さがあり、重要度が異なるという事であり、均等購入型向けの予想では全くなく、配分購入型向けの予想である。だから均等買い回収率などという物は全くもって意味を成さない。

プロ予想家の多くの的中報告は詐欺まがいで、ましてや均等買い回収率などという物は机上の空論でしかない。お前等も自分がプロ予想家になったつもりで、一定期間プロ予想家と同じ28点で予想してみろ。お前等が崇め奉っているプロ予想家殿どもが、どれ程のレベルの連中か明らかになるはずだ。